永遠を糸で縫い留めて

The end of the winter

二月の末に 嵐がやってきた


びゅうびゅうと強い風を鳴らし 窓を叩く


私は部屋で 愛猫を膝に乗せながら 本を読んでその音を聞いていた


風が止む あたりはしんとしずかになる


トイレの小窓から漏れる四角いひかりが 透明で青かった


その色に魅せられ 表に出ると 


あたり一面 水色の膜を張ったように 青い影でいろどられていた 


古い雲は消え 生まれたての新しい雲が水蒸気となって 


ひとつだけ真白く浮かんでいる


冬の終わり


私は奇跡を見た
< 386 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop