永遠を糸で縫い留めて

先生

卒業してから　春に桜が咲くように


時折思い出すことがあったけれど


一度も会うことはなかった


今あなたはどうしているでしょう


朝ドラで　危篤のお父さんに　ヒロインが会いに行く回を見たわ


人づてに　先生がご病気だって　数年前に聞いて


手紙を書こうと思い立ってから　どうしても書くことが　送ることができなかった


私のことなんて　数ある生徒のひとり　もう忘れてしまったんじゃないかって


先生の過去になっていることが怖くて　


今ならあなたへ手紙が書ける気がする　会いに行ける気がする


あなたに何かあった時に　後悔はしたくないから


過去の思い出になっていてもかまわない


あなたは私の夢を応援してくれた　背中を押してくれた　


だいすきで　大切なひとだから


だから私　手紙を書くわ


あなたに届くように　あなたの古い記憶から　ふたたび現れて


ねぇ　なんで　文字を紡ぐだけなのに　こんなに涙が溢れてくるの