永遠を糸で縫い留めて

鈴虫

紺色の夜が訪れたね


君とふたりで緑の縁側で 鈴虫の音を聞きながら 今は亡きあのひとを想うよ


蛍のほのかな青い炎は 夏の終わりと共に消えてしまった


さやかな遠い森のさえずりが ただ黒く聞こえてくるだけ


あのひとはこの景色が好きだったかな


それとも僕が勘違いしているだけだろうか


夕闇が死んだのも知らず 夜はただやってくるだけだね


待ってはくれないね


僕も消えてしまいたいときがあるよ 


でも頑張っていこうね


紫色の君とちいさな肩を重ねながら 


この闇を眠り続けてゆくよ


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