永遠を糸で縫い留めて

10月の街

通りは橙に染まった灯りが浮かんでいる


黒いワンピースを纏った少女たちが 踊るように歩いている


私はひとり 文庫本を右手で開きながら 


さっきコンビニで買ったアイスを入れた エコバッグを左手に持って歩いている


交差する私と少女たち 決して重ならない 


おどろおどろしくも 愉快な音楽が 至るところにあふれている


かぼちゃのケーキを焼いたにおいが あの赤い家からする


今日はハロウィンらしい 夜は長いらしい


私はひとり 沸かしたお風呂に入りながら 文庫本の続きを読んでいる 
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