~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

14(殿下、空気読め)

 案の定、クラフトの後ろに続いたセニアから向けられてくるのは冷ややかな視線だ。彼の腕に手をかけ、自分の存在をしっかり主張する彼女にジェミーはあれっと思う。

(話の邪魔をされて不機嫌になるのはわかる気がするけど、こんなに睨みつけるほどかしら。セニアって確か純粋で心優しい女の子って設定だったはずよね)

 そんな女の子が、たとえジェミーが憧れの男の婚約者候補だとしても、まだ会って間もない相手にここまで敵意の視線を向けるものだろうか。前世ではそういう機会に恵まれなかったとはいえ、ぴぴっと悪役令嬢アンテナが敏感にその感情を受信し、ジェミーは口元を引きつらせた。

「おほほ、クラフト殿下にセニア様、ご機嫌よう。ごめんなさいね、おふたりが仲良く話されていたのは見かけたのだけれど、あまりにもお似合いだったものだから」

 暗に邪魔するつもりはないんですよ~、とアピールしてみるものの。

「なにを言うんだジェミー。同じ一年の友人なんだ、彼女と君の間に差などあるものか。むしろ、君とは長年文通もしている仲だろう。安心して話しかけてくれていいのに」
(うわ殿下、空気読めー)
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