~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

21(開店に向けて営業営業!)

 盛況な人だかりができているが、ここは街中ではない。れっきとした王国立上級学園の教室内にある一か所だ。

 ルゼに会った明くる日の放課後、ジェミーの席の周りは大勢の女子生徒で囲まれていた。

「きゃー、この猫ちゃんの人形、思わず抱きしめてしまうほどのかわいさですわ」
「そちらはフェルトアニマルと申しますの。チェーン付きで通学鞄に取りつけることもできますのよ」
「この色とりどりの蝋燭のようなものはなんですの? ジェミー様」
「そちらはサシェの一種ですわ。アロマキャンドルなどをもとにして作りましたの。ほんのりといい香りがするでしょう? 紙を利用したしおり型のものもあります」
「わぁ、素敵!!」

 きゃいきゃいと騒ぐ女子たちにせがまれて、机の上で屋敷から持ってきた試作品のアイテムを披露してみせていたジェミーだったが、ある時視界の端に顔見知りの姿を見つけ、しょうがないと席を立つ。

「私はそろそろ帰りますので、よかったら皆さんでお分けになってくださいな。おほほ、では近日中に開店いたします私のお店、【ジェミーズ・ドロアー】もぜひよろしく」
「それは私の!」
「そっちが後から手を出したんじゃありませんの! 離してちょうだい!」
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