～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

２６（お兄様、意外とやるじゃない！）

「ほわぁぁぁぁー」

　ジェミーは思わず感嘆のため息を漏らした。
　各貴族家が贅を尽くした馬車が立ち並ぶ停車場に、ペリエライツ家の馬車もたった今乗り入れたところである。

「おいおいどうした。王宮に来るのは初めてじゃないだろ」
「そうなのですけどね～、えへへへへ」

　本日、白亜の尖塔が立ち並ぶ巨大な建造物の中のホールで、多くの貴族の子女を招いた夜の舞踏会が開催される。今の状態のジェミーにとっては、こちらに側に来て初めての夜会なのだ。そりゃ興奮しようってもんなのである。

　篝火(かがりび)に照らされて宵闇に薄く浮かび上がった荘厳な城。
　この王宮の中で、これから数多くの貴人たちが集って、歓談と舞踏を繰り広げるのだと思うと、それはもう！

　乙女の誰もが夢に見るシチュエーションと言っても過言ではないはず、と密かにジェミーはガッツポーズを握ってしまうのだ。

「なにしてるんだ、行くぞ。ほら、足を引っかけたりするなよ。ゆっくり降りろ」