~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
おまけ①(臆病者?の王太子)
王宮で行われていた夜会の、その数日後。
「チッ……」
会場よりさらに奥深く。限られた人間しか入ることができない区画の執務室の中では、純金のごとき美髪と虹彩を持つ男が苛立たしげに舌を鳴らしていた。
彼こそは王太子デール。レビエラ王国の第一王子にして、次期国王と目されるその人である。
「顔も明かさぬ末子の犬風情が」
彼が指で一枚の封筒を弾くと、入っていた便箋が中から滑り出た。その内側は朱色。第三王子派閥のものであることを示している。
翌年、王位継承を控えたデールにはひとつの懸念事項があった。第二王子クラフトが、周囲の貴族に働きかけ、継承順の交代を目論んでいるのだ。
レビエラ王国では、生まれた王子たちに王位継承順位を争わせる風習がある。すべては強き王を国の頂点に戴かんがため。とはいえそれはまだ他国との戦乱が活発だった頃の古い時代のもので、近年順位の変動など、滅多にあり得ることではなくなっている。
「チッ……」
会場よりさらに奥深く。限られた人間しか入ることができない区画の執務室の中では、純金のごとき美髪と虹彩を持つ男が苛立たしげに舌を鳴らしていた。
彼こそは王太子デール。レビエラ王国の第一王子にして、次期国王と目されるその人である。
「顔も明かさぬ末子の犬風情が」
彼が指で一枚の封筒を弾くと、入っていた便箋が中から滑り出た。その内側は朱色。第三王子派閥のものであることを示している。
翌年、王位継承を控えたデールにはひとつの懸念事項があった。第二王子クラフトが、周囲の貴族に働きかけ、継承順の交代を目論んでいるのだ。
レビエラ王国では、生まれた王子たちに王位継承順位を争わせる風習がある。すべては強き王を国の頂点に戴かんがため。とはいえそれはまだ他国との戦乱が活発だった頃の古い時代のもので、近年順位の変動など、滅多にあり得ることではなくなっている。