~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

5(伯爵様は思春期ですか?)

 首都カレンブルグの街並みは、レビエラの王都よりも伝統的な色合いが濃く見受けられる。
 国が大きくなる前の文化を少しでも残そうという試みがあるのか、新しい建物に混じって、そこかしこに存在する古めかしい様式の建築物が、ここで人々が長い歴史を営んできたことを主張しているのだ。

 でもって、生活する人々の姿はレビエラの王都とそこまで変わらない。少し情勢が不安定で沈んでいる人が多く見受けられるものの、通りをはしゃぎながら駆ける子供たちなどの顔は活気で溢れ、見ていると元気が出てくる。

 ……だが今。
 こうして大使館から首都の視察に出てきたジェミーの機嫌はすこぶる悪かった。それもこの。

「なんですか?」
「別に?」

 隣に歩く青年ルゼの無神経な行いのせいだったのだ――。


 カーライル登場の後、ジェミーたちは別の職員によって、国賓たちが訪れる時に使う一等客室へ案内された。
< 315 / 952 >

この作品をシェア

pagetop