~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

6(帝国散歩)

「ルゼ様、あの氷菓子美味しそうですわね。こんな季節にどうやって用意しているのかしら。ちょっと食べに行ってみません?」
「おひとりでどうぞ」
「帝国風の衣装って素敵ですわね。ルゼ様に似合うものを選んで差し上げましょうか?」
「結構」

 結局その後会話の糸口も見つけられず、ジェミーのお悩み相談室大作戦は空振りに終わり、ルゼはさらに機嫌を損ねてしまったようだ。

 街をぐるっとひと通り見回り終えた後、彼は生真面目に大使館に帰って皇帝の謁見時の準備について打ち合わせするべきだと主張したのだが、それまでにはまだ数日ある。
 ジェミーはまず帝国圏の文化に馴染むべきだと反対し、難色を示すルゼを強引に連れ回って、彼が心惹かれるものを発掘することにした。

 市場で王国では見られないような商品をここぞとばかりに買い込んでゆき、首都の大劇場で令嬢と大怪盗のラブロマンスを鑑賞、帝国式のレストランで舌鼓を打ち(レビエラとは違い、ややイタリア味のある濃いめのグッドな味付けだった)、最終的にはカレンベール国立歴史資料館という建物へと足を運ぶことになった。いろいろ回った中で、唯一ここにルゼがささやかな反応を示したのだ。

 そこへの移動中。
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