~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
7(すべてを自分の手の内に)
ここはレビエラ王国の王宮、第二王子の執務室である。そこでクラフトは席に座り、忙しく筆を動かしていた。
まだ未成人の王子とは言え、ゆくゆく国王から政務を受け継ぐ可能性があるため、彼も学園に通う傍らいろいろと国の運営に関わる小さな業務を任されている。無論、数人の側近に監督されながらではあるが。
しかし、その顔には強い憂いの色が滲む。
「クラフト殿下。細かくて申し訳ありませんが、この書類にいくつか訂正箇所が」
「すまない。すぐにこなすよ」
くっと唇を噛むとそれを笑みの形に戻し、クラフトは困惑気味の配下から書類を受け取った。
このところ、どうも仕事がうまくいっていない。
その原因のひとつに、ペリエライツ公爵家が、ほぼ本決まりになっていたジェミーと自分との婚約を固辞してきたことへの疑問がある。
なんと向こうは当主ガースルとジェミーが直々に王宮まで出向いて陳謝し、賠償金まで払う用意があると書面を提示してきたのだ。同席していた国王と共にクラフトも食い下がったが、どうしてもその固い意志を翻させることはできなかった。
まだ未成人の王子とは言え、ゆくゆく国王から政務を受け継ぐ可能性があるため、彼も学園に通う傍らいろいろと国の運営に関わる小さな業務を任されている。無論、数人の側近に監督されながらではあるが。
しかし、その顔には強い憂いの色が滲む。
「クラフト殿下。細かくて申し訳ありませんが、この書類にいくつか訂正箇所が」
「すまない。すぐにこなすよ」
くっと唇を噛むとそれを笑みの形に戻し、クラフトは困惑気味の配下から書類を受け取った。
このところ、どうも仕事がうまくいっていない。
その原因のひとつに、ペリエライツ公爵家が、ほぼ本決まりになっていたジェミーと自分との婚約を固辞してきたことへの疑問がある。
なんと向こうは当主ガースルとジェミーが直々に王宮まで出向いて陳謝し、賠償金まで払う用意があると書面を提示してきたのだ。同席していた国王と共にクラフトも食い下がったが、どうしてもその固い意志を翻させることはできなかった。