~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

8(帝国皇帝とのご謁見)

 カレンベール帝国の皇宮はレビエラ王国の王宮と全然違う。

 街並みの派手さに反した、異様にかっちりして質実剛健な造り。これは、戦が多かった古い時代を反映しており、為政者が配下を威圧して反抗を防ぐための方策のひとつではないかというのがルゼの予想だ。そう言われればとにかく刺々しくて、人を寄せつけなさそうな雰囲気を宿している。

 しかし一転、内部に入ってしまえば金糸で縁の整えられた赤絨毯や、売れば屋敷のひとつも買えそうな白磁などがそこかしこに置かれていて、国の豊かさを窺わせる。
 だのに、通りすがる侍従や宮女の表情は静けさを通り越し、今にも地面へめり込まんばかりの暗い雰囲気。この空気に引きずられないようにしなくては、とジェミーは気を取り直してクッと顎を反らせた。

 本日、ジェミーはルゼとレビエラ王国からの親善大使として国王に謁見する。彼女は隣を歩くルゼにこっそりと確認した。

「そこまで危ない状況なのですか? この国」
「この間も言った通り、大きくなり過ぎた弊害がいろいろとあるようです。そもそも政権運営の小回りが利きにくく、大雑把になりがちで無駄な支出が出やすいのですよ。そこへ来て、数年前のレビエラ王国侵攻騒ぎが、大きく国庫を圧迫したのです」
「へぇ~」
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