~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
15(夢のカカオ畑が目の前に)
さながら南国……。
きつい、きつ~い激烈な日差しを浴びて、涸れ果てたジェミーが太陽に向かって両手で白旗を上げた。
「くわ~……こりゃたまんないわ! なんつー蒸し暑さなのよ!」
「だらしないねぇ御嬢様。そんなことじゃこっちじゃやってけないよ」
そしてそれをなんともない風に隣で笑うのは、日に焼けた肌が健康的な農場主のラバサだ。
ジェミーたちは今、帝国南部のガレーヌという都市の近郊に造られた、巨大なカカオ畑へと向かっている。
その後ろにはルゼやカーライル、そして首都から連れてきた選りすぐりの建築職人やパティシェといった技術者たちに、ルゼがトーミアス家から呼び寄せたウィリアムたち使用人たちの姿も並ぶ。彼らのおかげで身の回りのことはたいしてできないジェミーでも、かろうじて令嬢の体裁を取り繕っていられる。
「しかし本当に、あんなもので帝国をどうにかしようっていうのかい? あたしにゃ大ゴケする未来しか見えやしないが」
「そんなことないわ。食欲っていうのは全人類が生きていく上で一二を争うくらい、強力な欲求だと思うもの。そこへ革命を起こすような新しい味覚が発見されたなら、それは必ず人々を熱狂の渦に巻き込むわ」
きつい、きつ~い激烈な日差しを浴びて、涸れ果てたジェミーが太陽に向かって両手で白旗を上げた。
「くわ~……こりゃたまんないわ! なんつー蒸し暑さなのよ!」
「だらしないねぇ御嬢様。そんなことじゃこっちじゃやってけないよ」
そしてそれをなんともない風に隣で笑うのは、日に焼けた肌が健康的な農場主のラバサだ。
ジェミーたちは今、帝国南部のガレーヌという都市の近郊に造られた、巨大なカカオ畑へと向かっている。
その後ろにはルゼやカーライル、そして首都から連れてきた選りすぐりの建築職人やパティシェといった技術者たちに、ルゼがトーミアス家から呼び寄せたウィリアムたち使用人たちの姿も並ぶ。彼らのおかげで身の回りのことはたいしてできないジェミーでも、かろうじて令嬢の体裁を取り繕っていられる。
「しかし本当に、あんなもので帝国をどうにかしようっていうのかい? あたしにゃ大ゴケする未来しか見えやしないが」
「そんなことないわ。食欲っていうのは全人類が生きていく上で一二を争うくらい、強力な欲求だと思うもの。そこへ革命を起こすような新しい味覚が発見されたなら、それは必ず人々を熱狂の渦に巻き込むわ」