~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
19(幼き悪女の救い)
――今から十年前。
彼、カーライル・ヴォルドは今よりももっと弱い人間だった。
同世代の人間と比べると背も小さく、まるで少女なような外見。男として自分にまったく自信が持てないのは当たり前。
同い年の人間より体力は大きく劣り、さりとて頭が回るわけでもなし。伯爵家の息子――そんな肩書も、父のルブロが当主のおこぼれで受けたもののお下がりに過ぎず、彼の心の拠り所なんかになってはくれない。
父親がさして社交的なわけでもなし、おかげで小さな頃は他家の子供たちと交流をすることもなく、ひたすら家に引き篭もって過ごすことになる。
だが、そうしていられるのも十五の時まで。
両親も、さすがに彼の先行きを悲観したようで。半ば追い出されるようにして、王都にある寄宿舎付きの貴族学校に入学することになった。父親の通わされていた、かの王立上級学園よりは大分格が劣るところではあったが。
そうなると、当然本家筋に当たるペリエライツ家に挨拶に出向かないというわけにもいかない。そこで初めて、彼はあの家の家族たち、そしてその末の娘であるジェミーと出会うことになったのである。
「あ、あの! これから、数日に一度、顔を見せに伺いますので、その、どうかよろしくお願いします……」
彼、カーライル・ヴォルドは今よりももっと弱い人間だった。
同世代の人間と比べると背も小さく、まるで少女なような外見。男として自分にまったく自信が持てないのは当たり前。
同い年の人間より体力は大きく劣り、さりとて頭が回るわけでもなし。伯爵家の息子――そんな肩書も、父のルブロが当主のおこぼれで受けたもののお下がりに過ぎず、彼の心の拠り所なんかになってはくれない。
父親がさして社交的なわけでもなし、おかげで小さな頃は他家の子供たちと交流をすることもなく、ひたすら家に引き篭もって過ごすことになる。
だが、そうしていられるのも十五の時まで。
両親も、さすがに彼の先行きを悲観したようで。半ば追い出されるようにして、王都にある寄宿舎付きの貴族学校に入学することになった。父親の通わされていた、かの王立上級学園よりは大分格が劣るところではあったが。
そうなると、当然本家筋に当たるペリエライツ家に挨拶に出向かないというわけにもいかない。そこで初めて、彼はあの家の家族たち、そしてその末の娘であるジェミーと出会うことになったのである。
「あ、あの! これから、数日に一度、顔を見せに伺いますので、その、どうかよろしくお願いします……」