～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

２４（完成！ 食用チョコレート）

　それからのジェミーは、帝国首都から連れてきた職人たちにルゼが私財を使って確保してくれていた風車小屋の改造命令を出すと、ひとたび泥のように眠りこけた。

「――これこれこういう風にやっておいてほしいのよ！　いけるかしら？」
「「うっす、なんとかやっときますぜ！」」
「じゃあお願い！」

　睡魔でダウン寸前のジェミーがかろうじてできたのは、そんな感じの超アバウトな指令だったはずだが、さすが一国の誇る立派な職人たち。ルゼの作ってくれた詳細な計画書と図面もあって、加工用の素晴らしい改造水車をどんどん建造していってくれた。

　その間に、ラバサたちも休みなくチョコレート原液の製造を続けてくれている。それらの移送手配もスムーズに終わり、川に数十基の水車小屋が並ぶ壮観な気配を見ながら、ジェミーたちは日夜そこで内部の石臼にチョコレート原液を供給する作業に明け暮れた。

「うん！　これならそのまま飲み込めるくらい滑らかだわ！　完璧！」

　そして現地の従業員たちと一緒に味見をしたジェミーはその見事なまろやかさに舌鼓を打つ。
　製造は以降も続き、チョコレートは飲み物です！――とはっきりと言いきれるくらいの喉越しにまで整えられた精製液を、ガラス瓶に移し替えた備蓄分がとんとん拍子に増えていき……。