~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

30(めでたしめでたし……じゃなーい!?)

 通りを出歩く人も増え、街並みには少しずつ活気が戻りつつある……。
 ペリエライツ公爵令嬢ジェミーは、そんな様子を大使館客室の窓枠にもたれかかるようにして体を預け、ぼんやりと見下ろしていた。

 これもふたつの共和国が、帝国に対する貨幣の供給再開を表明したおかげだ。
 それにおもねる形で、周辺諸国たちも次々と貿易を再開し、輸出品の価格を改めだした。遠からぬうちに、首都カレンベールはもとの賑わいぶりを取り戻すことだろう。

 それはいいのだが、ジェミーとしてはもうクタクタだ。頭の中にここ数日間の過密スケジュールが思い出される度、重い疲労が体を押さえつけてくる。

(たかだか平穏に暮らしたいというだけの望みが、なぁんでこんなに遠いのかしらね~)

 皇帝にチョコレートをお披露目した後のこと。

 結局ジェミーは、今の今まで休むことなく帝国内を駆けずり回されていた。
 レビエラ王国側の使節としてビッカート共和国に赴いて、交渉役としてチョコレートの素晴らしさを伝えたり。チョコレート開発の功労者として皇帝に勲章を賜ったり。
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