~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

おまけ②(誰かを大切にできるなら)

 ジェミーがガレーヌの街に移動し、手探りでチョコレートの製造法を模索していた時のこと。

 ある日、倉庫に備蓄していたカカオ豆などのチョコレート原料をすべて使い切ってしまい、他の農場からそれらが届くまでしばらく手が空いてしまった。そこで彼女たちは、しばしの休息を言い渡されてしまう。

「肥料撒きやら開墾(かいこん)やらの泥臭い作業はあんたらには似合わないだろ。農地の手入れはあたしたちでやっとくからさ。ジェミー様たちはしばらく休んでな。どうせこの先、忙しくなるんだろうし」

 そんな風に言われても――自分たちだけ手持無沙汰で、籠を背にかつぎ額に汗してカカオの実の収穫に勤しむラバサたちを眺めているのも気が進まない。周りは皆必死に仕事に取り組んでいるし、あのカーライルだって他の農地や商品の流通を担う業者のもとに足を延ばし、人材を探しに行ってくれているというのに。

「皆大変なのに、僕たちだけっていうのは……」

 ジェミーは顔を曇らせ、ルゼも困り顔で断ろうとしたのだが。
 するとラバサに呆れ顔で指摘された。
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