~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
8(セニアの苦悩)
「はぁ……」
ピンクブロンドの髪をした少女は学園の入学式が終わったその日、浮かない表情で後ろの席から窓を見つめていた。
彼女の名はセニア・エレマールという。エレマール子爵家に迎えられた養女で、もとは修道院に預けられていた孤児だった。このよく目立つ色の髪と目が、養父母の目に留まったようで、将来の政略結婚のために、彼らはセニアをエレマール家に引きとることにしたのだ。
――セニアは、それから夢のような生活がそこで始まるのだと期待していた。
だが行ってみれば、彼女の扱いはひどいものだった。将来他家に嫁がせるためにマナーや勉学を厳しく教え込まれたのまではよかっただろうが、家族たちの彼女に対する扱いはともすれば使用人のようなもので、特に兄姉は気に入らないことがあるといつもセニアに辛く当たっていた。
(これなら、前の修道院での生活に戻った方がマシかも。誰かがこの家から連れ出してくれたら……)
そんなことを考えながら、セニアはある日、小間使いのように用事を言いつけられて街に出た。何通かの手紙を他の貴族家に渡しに回ったのだ。貴族といえど、エレマール子爵家には金銭的にあまり余裕がなく、使用人の数も少ないからそういうことも、これまでにままあった。
ピンクブロンドの髪をした少女は学園の入学式が終わったその日、浮かない表情で後ろの席から窓を見つめていた。
彼女の名はセニア・エレマールという。エレマール子爵家に迎えられた養女で、もとは修道院に預けられていた孤児だった。このよく目立つ色の髪と目が、養父母の目に留まったようで、将来の政略結婚のために、彼らはセニアをエレマール家に引きとることにしたのだ。
――セニアは、それから夢のような生活がそこで始まるのだと期待していた。
だが行ってみれば、彼女の扱いはひどいものだった。将来他家に嫁がせるためにマナーや勉学を厳しく教え込まれたのまではよかっただろうが、家族たちの彼女に対する扱いはともすれば使用人のようなもので、特に兄姉は気に入らないことがあるといつもセニアに辛く当たっていた。
(これなら、前の修道院での生活に戻った方がマシかも。誰かがこの家から連れ出してくれたら……)
そんなことを考えながら、セニアはある日、小間使いのように用事を言いつけられて街に出た。何通かの手紙を他の貴族家に渡しに回ったのだ。貴族といえど、エレマール子爵家には金銭的にあまり余裕がなく、使用人の数も少ないからそういうことも、これまでにままあった。