～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

８（完璧な公爵令嬢に勝ちたくて）

　セニアーズ・クラフトの客足は日に日に増している。

　手応えと充実感を覚えながら、セニアは今、学園を休んでまで自らの前に立ち塞がる、あのペリエライツ家公爵令嬢ジェミーの打倒に励む毎日を送っていた。

「皆さぁん！　ぜひこのお店を訪れて、一度私たちの作った商品を試してみてください！　そうすれば、きっと日々の生活が一回りも二回りも楽しいものになりますよ！　セニアーズ・クラフトをどうかよろしく！」

　自ら店頭に立って声を張り上げ、なりふりかまわず客を呼び込む。自分にこんなことができるだなんて思いもしなかった。同時に、自分は人を使う身分にはふさわしくないのだと、そんなことを思い知る。店で働く従業員を用意したのも教育したのも、すべてはあのジェイクという男の手配で、セニアはただこうして客寄せのピエロとして人目を集めることしかできない。あの時ジェミーの言った通り所詮押しぎせ、公爵令嬢の身分など、まこと似つかわしくない。

　女公爵という地位を賜ってからも、彼女はずっと迷っていた。
　しかし、それでも――セニアはジェミーが帝国から戻ってきたと聞いて、戦う覚悟を決めた。

　ジェミーにどうしても勝ってみたい。人脈も自分の容姿も、使えるものはすべて使って勝利という結果を掴む。
　そうすることでしか、きっとこの心の迷いは晴れない。