~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

11(ルゼ、捕らわれるぜ)

 ジェミーがセニアーズ・クラフトへの対処に手を焼いていた頃。
 ルゼは王都に所在を置く、ある団体のもとを訪れていた。

 ロドリエ商会――第二王子との繋がりがあることをジェミーが予想した、あの怪しげな組織である。
 彼はペリエライツ家失踪の謎を探るため、その本部に直接足を踏み入れたのだ。

 当然ながら表向きは特に引っ掛かるところはない。
 どこもかしこも大勢の商会員が出入りしていて、商売に関する情報の交換や、手持ちの物品の売買交渉を行われ忙しない雰囲気が作られている。
 それらを横目に、ルゼは正面入り口から続く白大理石のエントランスに入り込むと、受付に佇む案内人へと声をかけた。

「トーミアス家のルゼという者だ。そちらのジェイク会長との面談で来た」
「ルゼ様ですね。伺っております、こちらへ」

 訪問予定をあらかじめ伝えていたからか、すぐにルゼは案内人に連れられ、注文主の頭を疑う純金仕立ての手すりが囲んだ長い階段を登って、最上階の会長室へ移動していく。
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