~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
17(王太子の選択)
王宮の庭園に有する専用の区画にて。
王太子デールは優秀な庭師が咲き誇らせた白い薔薇を愛でながら、宰相からクラフトとジェミーの婚約話を聞き及んでいた。
「そうか。ジェミーがクラフトとの婚約を承諾してしまったか」
「噂によると、ペリエライツ家の当主及び係累はまだ、見つかっておらぬようで。ふたりの間になんらかの契約が行われたのでしょうな」
「チッ」
デールは一本の薔薇を手折ると、気分を落ち着けようとそれを口元に近づける。
気に入らないのだ、クラフトにジェミーを奪われたということが。
思えば、あの弟はいつ何時も、デールを下に見ていた。
剣術の稽古でも学業でも、謀ったようにデールにわずか及ばぬような成績を取り、貼りついたような笑みで自分を褒めたたえてくる。その自然さに周りはころりと騙されたものだが……。
デールにはあの表情は、親が稚児に対して接する時の微笑みにしか映らなかった。あるいは、愛玩動物をあやすような。
「気に入らぬっ! 何事もあいつの手のひらの上かっ!」
王太子デールは優秀な庭師が咲き誇らせた白い薔薇を愛でながら、宰相からクラフトとジェミーの婚約話を聞き及んでいた。
「そうか。ジェミーがクラフトとの婚約を承諾してしまったか」
「噂によると、ペリエライツ家の当主及び係累はまだ、見つかっておらぬようで。ふたりの間になんらかの契約が行われたのでしょうな」
「チッ」
デールは一本の薔薇を手折ると、気分を落ち着けようとそれを口元に近づける。
気に入らないのだ、クラフトにジェミーを奪われたということが。
思えば、あの弟はいつ何時も、デールを下に見ていた。
剣術の稽古でも学業でも、謀ったようにデールにわずか及ばぬような成績を取り、貼りついたような笑みで自分を褒めたたえてくる。その自然さに周りはころりと騙されたものだが……。
デールにはあの表情は、親が稚児に対して接する時の微笑みにしか映らなかった。あるいは、愛玩動物をあやすような。
「気に入らぬっ! 何事もあいつの手のひらの上かっ!」