~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド
19(酒浸りの叔父上様)
よく言えば風光明媚、悪く言えば田舎といった、そこかしこに田畑の広がる風景。
そののどかさに普段暮らす王都との落差を感じつつ、数日間の旅を終えて馬車から降りたジェミー。
ここはヴォルド領。叔父のルブロが領主として納めている土地だ。
ひとりでこうまで長い時間行動するのは、悪役令嬢としては初めてかもしれない。日頃世話してくれる周りの人たちのありがたみを思い知りつつ、ジェミーは雑草が踏み固められた畦道を歩いてゆく。
(ああ、これがワインの原料になるってやつね。おいしそ)
どうやらここはぶどうの名産地らしく、ちょうど収穫期に当たるのか、そこら中で丸々と太った実を茂らせたブドウの木や、それらが山積になった籠が放置してある。ついつい手を伸ばしたくなってジェミーはしゃがみ込んだ。
「おんやお嬢さん、そこいらの葡萄をつまんだってあんまうまくねえぞ。酒造りに使うんだから」
近づいてきて注意をくれたのは、付近のぶどう棚で作業中の麦藁帽を被ったおじさんだ。
そう言えば、ワイン用の葡萄はずいぶんと酸味が強いと聞いたことがある。苦手だった梅干しなんかを思い出して口の中に唾がたまり、ジェミーはごくりと喉を鳴らす。
そののどかさに普段暮らす王都との落差を感じつつ、数日間の旅を終えて馬車から降りたジェミー。
ここはヴォルド領。叔父のルブロが領主として納めている土地だ。
ひとりでこうまで長い時間行動するのは、悪役令嬢としては初めてかもしれない。日頃世話してくれる周りの人たちのありがたみを思い知りつつ、ジェミーは雑草が踏み固められた畦道を歩いてゆく。
(ああ、これがワインの原料になるってやつね。おいしそ)
どうやらここはぶどうの名産地らしく、ちょうど収穫期に当たるのか、そこら中で丸々と太った実を茂らせたブドウの木や、それらが山積になった籠が放置してある。ついつい手を伸ばしたくなってジェミーはしゃがみ込んだ。
「おんやお嬢さん、そこいらの葡萄をつまんだってあんまうまくねえぞ。酒造りに使うんだから」
近づいてきて注意をくれたのは、付近のぶどう棚で作業中の麦藁帽を被ったおじさんだ。
そう言えば、ワイン用の葡萄はずいぶんと酸味が強いと聞いたことがある。苦手だった梅干しなんかを思い出して口の中に唾がたまり、ジェミーはごくりと喉を鳴らす。