離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~

2. 今さらな後悔 side千博

 休日を翌日に控えた金曜日。社内にはどこか浮かれた空気が漂っている。

 昼食を終え、自分のデスクへと続く道を進む中、隣を歩く手嶋も今日はいつもよりハイテンションで話しかけてくる。

「なあ、相馬。今日久しぶりに飯行こうぜ! そろそろお前の近況も聞きたいしな。今日は定時で上がるぞ!」

 金曜日当日に誘ってきて、しかも相手の返答も聞かずに決定しようとは、あまりにも自由がすぎる。こんなことができるのはきっと手嶋くらいのものだろう。

 基本的に千博に予定がないことを知っているからできるのかもしれないが、それにしても気まますぎるだろう。本当にこの男のノリと勢いのよさにだけは感心する。

 予定がなければ付き合ってもいいとは思うが、今日は先約がある。手嶋の誘いに乗ることはできない。

 千博は一人で盛り上がっている手嶋に淡々と事実を告げる。
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