離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
第三章 虚像の崩壊

1. 終わりの始まり

 一度腹を括ってしまえばもう迷わない。いつまでも同じ問題に対して、ぐじぐじと悩み続ける性格はしていないのだ。

 さすがにストーカー被害に遭ったときには、自分だけではなかなか解決に至らず随分と悩みもしたが、だからといって流されるままに千博と結婚したわけではない。結婚も退職も自分で決断して選んだ。こんなことになった今もそれを後悔はしていない。

 過去を悔やむくらいなら、これからの未来のために行動する。そうやって生きてきた。

 だから今回のことも、千博に真実を確認すると決めてから、それを行動に移すまでは本当に早かった。

 翌日曜日の午後。家事が一段落し、千博もこれといって忙しそうではないことを確認すると、美鈴は躊躇わずにストレートに切り込んだ。
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