離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
2. 砂上の楼閣 side千博
インターホンを鳴らして幾ばくもなく開かれる玄関ドア。相変わらず警戒心の欠片もないこの家の居住者に呆れながらも、千博はこれ幸いと玄関の中へ体を滑り込ませる。
「はい――って相馬?」
わかりやすく驚いている手嶋には構わず、千博は勝手に靴を脱いで家の中へと上がる。
古くからの付き合いである手嶋との間には互いに遠慮がない。千博の本来の性格もこの男は知っているし、自分を取り繕うだけ無駄というもの。
手嶋もそれを承知しているから、無言で上がり込む千博に何か言うこともなく、当たり前のようにコーヒーを入れ始めた。
そうして出来たコーヒーを色気のない湯呑みに入れて千博に差し出してくる。手嶋は自分の分のコーヒーにはたっぷりとミルクと砂糖を入れており、千博はそれを見ただけで胸焼けしそうだった。
「はい――って相馬?」
わかりやすく驚いている手嶋には構わず、千博は勝手に靴を脱いで家の中へと上がる。
古くからの付き合いである手嶋との間には互いに遠慮がない。千博の本来の性格もこの男は知っているし、自分を取り繕うだけ無駄というもの。
手嶋もそれを承知しているから、無言で上がり込む千博に何か言うこともなく、当たり前のようにコーヒーを入れ始めた。
そうして出来たコーヒーを色気のない湯呑みに入れて千博に差し出してくる。手嶋は自分の分のコーヒーにはたっぷりとミルクと砂糖を入れており、千博はそれを見ただけで胸焼けしそうだった。