DEAR 2nd 〜Life〜
第26章 “サヨナラ”

第26章 “サヨナラ”







第26章 “サヨナラ”







────次の朝は、腹が立つくらいの晴天だった。





雲一つない空は、清々しい爽やかなブルー一色。






「……はは……」







こんな時にまで“晴れ女”発揮かぁ……。







───…いっそ大雨でも降ればいいのに………





豪雨でも台風でも嵐でも何でも起こればいいのに───…






窓から差す光に、ほとほと嫌気がさして






─────シャッ!






カーテンを強く引き、まぶしすぎる太陽の光を遮った。







────あれから。






目が覚めても、ちっとも夢から醒めることはなかった。





電源が落ちて床に転がっているケータイ





泣いて赤く腫れた目





ほとんど眠れなかった夜。





───…むしろ、




それらを見て感じる度に、“現実”を実感した。










❤5月*日❤





❤朝岡さんとデート❤








「…………」






カレンダーのハートマークを見て、また一つ希望が消え失せていく。






………ほんとなら今日は。





早起きして、時間掛けて丁寧にメイクして、それから────…






「─────……」






─────それから








─────…カサッ……






ショップ袋から出したワンピースや下着、香水、アクセサリーを見つめては







「─────…~~っ…」







止まることなく涙が溢れた。






────…全部、この日の為だった。






ずっとずっと待ち望んでいた日だった。





これを全部身に付けて、今頃ウキウキしながらデートに向かっているはずだった。






“好きだよ”って、

ドキドキしながら朝岡さんに伝えるはずだった。






───…なのに








「─────……ふっ………~~……っ」







見せる相手もいなくて、

どうしてこれを一人で見つめているんだろう。






こんな気持ちで眺める為に買ったんじゃないのに。





今日と云う日




買った物




“会おう”と交わした約束




“昨日”と云う時間さえ






───もう………





もう何もかもが遠すぎて届かない。






「……………」







───何にも届かない……



< 205 / 475 >

この作品をシェア

pagetop