DEAR 2nd 〜Life〜
第26章 “サヨナラ”
第26章 “サヨナラ”
第26章 “サヨナラ”
────次の朝は、腹が立つくらいの晴天だった。
雲一つない空は、清々しい爽やかなブルー一色。
「……はは……」
こんな時にまで“晴れ女”発揮かぁ……。
───…いっそ大雨でも降ればいいのに………
豪雨でも台風でも嵐でも何でも起こればいいのに───…
窓から差す光に、ほとほと嫌気がさして
─────シャッ!
カーテンを強く引き、まぶしすぎる太陽の光を遮った。
────あれから。
目が覚めても、ちっとも夢から醒めることはなかった。
電源が落ちて床に転がっているケータイ
泣いて赤く腫れた目
ほとんど眠れなかった夜。
───…むしろ、
それらを見て感じる度に、“現実”を実感した。
❤5月*日❤
❤朝岡さんとデート❤
「…………」
カレンダーのハートマークを見て、また一つ希望が消え失せていく。
………ほんとなら今日は。
早起きして、時間掛けて丁寧にメイクして、それから────…
「─────……」
─────それから
─────…カサッ……
ショップ袋から出したワンピースや下着、香水、アクセサリーを見つめては
「─────…~~っ…」
止まることなく涙が溢れた。
────…全部、この日の為だった。
ずっとずっと待ち望んでいた日だった。
これを全部身に付けて、今頃ウキウキしながらデートに向かっているはずだった。
“好きだよ”って、
ドキドキしながら朝岡さんに伝えるはずだった。
───…なのに
「─────……ふっ………~~……っ」
見せる相手もいなくて、
どうしてこれを一人で見つめているんだろう。
こんな気持ちで眺める為に買ったんじゃないのに。
今日と云う日
買った物
“会おう”と交わした約束
“昨日”と云う時間さえ
───もう………
もう何もかもが遠すぎて届かない。
「……………」
───何にも届かない……