DEAR 2nd 〜Life〜
第30章 近くて遠い声
第30章 近くて遠い声
第30章 近くて遠い声
「ふんふんふーんっ♪」
「萌、超ご機嫌だねぇ~?」
「だって秋だもぉーんっ♪見てまなちゃんっ♪綺麗でしょぉっ?」
“じゃんっ★”と萌が元気よく開けて差し出した雑誌。
そこには一面、思わず笑顔になってしまう壮大な紅葉が広がっていた。
「…わぁー…」
「ねっ♪次のページも綺麗だよぉ♪ほら、ライトアップバージョンッ★」
────ペラッ♪
次のページは、これまた恋人が寄り添って仲良くライトアップの紅葉を見ている素敵な様子が。
「“ドライブデートで夜景の紅葉を楽しむ!”…かぁ…」
「いいよねぇー♪萌も紅葉デートしたぁーいっ!!」
「…だねー、いいなぁ…」
萌の後ろからちゃっかりあたしも雑誌を見つめちゃう。
紅葉か……。
もう何年も見に行ってないなぁ……。
「こんなシチュエーションだったら萌もうそれだけでキュンキュンしちゃうなぁ~っ♪」
「……萌彼氏いないじゃん。」
「妄想は自由だもぉーんっ♪いつか王子様と絶対観に行くんだからぁ♪」
「…あっそう…」
“キャッ♪”と空中にハートを描きながら、いつか出逢う王子様との妄想を夢見がちに話す萌。
萌ってホーント天然夢見がちブッ飛びキャラだよなぁー……。
なーんて、苦笑いしながらもあたしもついつい妄想が伝染。
「……あたしも行きたいな……」
“誰と?”って感じだけど。
「まなちゃんは王子様いないのぉー?」
萌はあたしに屈託ない笑顔でゴロゴロ甘えてくる。
「……いないなぁ~…
どっか行っちゃった。」
「えぇ~~!?」
萌がまるで自分の事のようにショック受けるから、あたしは思わず笑ってしまった。
「さーてっ♪今日もお仕事ガンガン頑張っちゃうぞー♪」
「やーん、待ってよまなちゃぁんっ!続き教えてーっ!」
───…秋が来た。
あなたと最後にサヨナラした春から、もう半年が過ぎようとしていた。
────シャラ……
今日も胸元で寂しくkeyが光る。
あなたとサヨナラした日から、ずっと。
───……朝岡さん。
今、元気ですか?
ちゃんと笑えてますか?
あたしは───…
大丈夫、だよ。