DEAR 2nd 〜Life〜
第40章 Be with you

第40章 Be with you





第40章 Be with you









────…厳しい冬の寒さが少し和らいだ気がする。





窓から覗く景色も、頬に当たる風も、そろそろ春に近付いてきた。







「──よしっと…」






「お、上出来だね彩ちゃん」





「えへへ…」





仲良く寄り添うように並ぶお弁当箱二つ。





照れながらお弁当を包むあたしに、ゴローちゃんがフワリと微笑みかけて来た。





「……お弁当作り手伝ってくれてありがと。ゴローちゃん。」




「いいえ♪これくらいしか能がないですからね。」





…───そう。





今日は待ちに待ったデート当日。




あたしは張り切って早起きして、ゴロー先生と一緒にお弁当作りに励んでいたってワケ。






「───アヤヤ~!!!!

もう終わった~!?」





「あっ、うん!」





「じゃあ早くこっち来てっ!」





いっちゃんが手招きしているリビングへと、あたしは慌てて移動する。






「…───いっちゃん、今日はどんな髪型にしてくれるの?」





「ん~、それは出来てからのお楽しみぃ~♪♪」





いっちゃんはニコニコ、今日も愛くるしい笑顔を振りまいて。






────…ふわっ…





見事なコテさばきで、みるみるうちにあたしの髪を変身させていく。







「……その服、春服?」





トントンと灰皿に煙草の火を落とし、マリアは気だるそうに聞いてくる。






「……うん。

前にデート誘われた時に着ようと思ってたんだけど着れなくて…。




だから今日は絶対着たかった服なんだ♪」






ニコッと微笑むあたしは、もう何か吹っ切れたようだった。






…───いつか、デートして告白しようと思っていた日があった。





でも、そんな願いが叶わなかったあの日。





クラスメート全員の豹変ぶりに悲観して、あたしは準備していた物全てをクローゼットにしまいこんだ。






───…でも。






今日は、大丈夫。





そう確信しているから、眠っていた物をクローゼットから取り出した。






叶わなかったあの日の約束を、やっと実現出来るから。







「───じゃ、いってきます♪」





お弁当を大事にバッグに入れ、にっこりと振り返る。








「───…いってらっしゃい。」







……そこには






いっちゃん、マリア、ゴローちゃんが微笑んでいた。




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