Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

釈放



「下条小夜さん。あなたの容疑は晴れました。どうぞお帰りください。」

眼鏡をかけた野間という刑事が、警察に預けていた小夜の所持品を渡しながらニコリと笑い、何もかもお見通しという表情で囁いた。

「ウチの桂木が車でご自宅まで送ると言っています。」

「・・・・・・。」

「桂木は心底あなたに惚れているみたいですね。あいつはぶっきらぼうだけど、優しくて真っ直ぐないい男です。俺の子供の誕生日には何があっても俺を早く家に帰してくれるような、ね。桂木をよろしくお願いしますね。」

「・・・はい。」

小夜は野間に小さく会釈した。

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