Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

真犯人


小夜はスマホの連絡先を開き、彼女に電話をした。

「大事な話があるの。会えないかな?」

小夜の願いを、彼女はすぐに受け入れた。

「私もあんたに会いたいと思っていました。」

小夜と彼女は大学近くの公園で待ち合わせをした。

小夜が急いで待ち合わせ場所にたどり着くと、彼女はもうスマホを見ながら公園のベンチに座っていた。

彼女の顔に生気はなかった。

小夜に虚ろな笑いを向け、彼女が言った。

「あんた、アリバイがあったんですね。ラッキーって感じですか?」

「・・・・・・。」

「だって一番怪しいのはあんたじゃないですか。広之さんに捨てられて、勤めていた会社も辞めたって聞きましたよ?ボロボロじゃないですか?どうしてそんなに穏やかな顔をしていられるんですか?」

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