Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

自白 ー桂木sideー


署の取調室に座った荻野美緒は、ふてくされた顔をして椅子の背に寄りかかっていた。

その濃い化粧はまだ23歳だという実年齢よりも老けてみえる。

顔色は悪く、肌は荒れ、指の爪のマニキュアも剥がれかかっていた。

取り調べの担当となった桂木は、立ち上がり机に手をついて、美緒を睨み付けた。

「荻野美緒。あんたは落合広之のマンションに、4月10日の14時から16時まで滞在していた。間違いないな?」

「・・・・・・。」

美緒は黙秘を続けている。

「あんたの姿はマンションの監視カメラにしっかりと映っている。言い逃れは出来ないぞ?本当のことを吐け。」

「たったそれだけの証拠で私が広之さんを殺したっていうの?そんなの決めつけでしょ?」

目を尖らせた美緒が初めて口を開いた。


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