Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
絶望
一週間後――
小夜は職場で荷物運びを手伝わされていた。
大量の出版物が会社へ返却されてきたのだ。
小さな会社なので、事務職である小夜もその作業に駆り出された。
その出版物の入ったダンボールは思いのほか重かった。
お腹の子が心配になった小夜は、直属の課長である小池に縋るように言った。
「あの・・・体調がすぐれなくて・・・この作業は抜けさせてもらいたいんですけど・・・。」
しかし小池は小夜の申し出を受け流し、いつものセクハラ発言を連発した。
「なに?もしかして生理中?」
「いえ・・・。」
「じゃあなによ?もしかして昨夜男とエッチしまくって腰を痛めちゃったとか?」
「そうじゃなくて・・・本当にお願いします。」
「給料貰ってんだろ?怠けようとすんなよ。」
「お願いします!お願いします!」
小夜は必死に頭を下げ続けた。
小池は見せつけがましく大げさにため息をついてみせた。
「あーあ。女はいいよな。我が儘が言えてさ。どうぞどうぞ。好きにすれば?」
「ありがとうございます・・・。」