Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

秘密 ー桂木・小夜sideー



下条小夜が喫茶店から出て行くと同時に桂木は席を立った。

「野間さん。悪いが先に帰ってくれ。ちょっと野暮用を思い出した。」

「おいおい。お前にさん付けされるなんて気色悪いな。一体どうしたんだ?」

野間の問いかけを桂木は無視した。

「今の女を尾行(つけ)るつもりか?それはまだ早いんじゃないの?」

「・・・・・・。」

「ま、無茶だけはするなよ。」

野間の声を背に受けながら、桂木は店を飛び出した。

大きな道路を右に進むと、横断歩道がある。

そこに紺色のカーディガンを着た小夜の姿があった。

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