どん底貧乏美女は夢をあきらめない

なんだかんだと同居することになりました。

そんなある日、父親に呼ばれて実家に帰っていた榊が、不機嫌な顔で帰ってきた。

美玖に話があると言うので、奥のキッチンスペースの食卓テーブルで向かい合った。

「どうしたんですか?
そんな苦虫を嚙み砕いたような
渋い顔をして‼」

美玖は少しでも榊の気分を変えたくて陽気に笑いながら言った。

「苦虫どころじゃない。あの糞親父!
俺に会社を継がないんだったら、せめて
会社のためになる結婚をしろって言いだして
今度の日曜日にお見合いを段取りしたって
いうんだ。人を会社の駒のように
扱いやがって、俺の一生を勝手に
決めようとしていやがる」

そういって、美玖が出した、お茶を一気に飲み干した。

「それは、大変ですね。政略結婚と
いうことですか?どこかのいいお家柄の
お金持ちのお嬢様なんですね?
どんな人なんですか?」

「知らないよ。釣書も見てないよ。
リゾートホテルとかそんな会社のご令嬢だ
とかなんとか言ってたけど、興味ないよ」

「それでお見合いは、行くことに
なったんですか?」

美玖は重ねて聞いた。
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