逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第21話

 新幹線が飯山駅に到着したのは、ちょうどお昼どきだった。

 近代的な駅の改札を抜けると、正面で手を大きく振る明日香ちゃんの姿が見えた。

 私の中で嬉しさが一気に膨らみ、思わず彼女の方へ駆け寄った。

「明日香ちゃん!」

「薫! 元気にしてた!?」

 駆け寄った私を、明日香ちゃんは笑顔で大きく手を広げて迎えてくれた。

 抱き合って再会を喜んだあと、明日香ちゃんは少し遅れて近づいてくる蓮さんに気づき、目をまんまるにした。

「ちょっと、もしかしてこの人が婚約者!? うわぁ、ありえないくらいイケメン! まさに世紀のイケメン! わが町の美術館に飾ってもいいですか?」

 明日香ちゃんは躊躇なく褒めちぎり、その様子に私は照れ笑いを浮かべながら二人を紹介した。

「明日香ちゃん、こちらは出雲蓮さん。蓮さん、私の小学校からの友達の丸山明日香ちゃん」

「初めまして。どうぞよろしく」

 蓮さんが微笑みながら丁寧に挨拶すると、明日香ちゃんは両手で頬を覆い、大げさに地団駄を踏んだ。

「こんなイケメンに直視されたこともなければ、名前を呼ばれたこともないよ! 薫、私今日まで生きててよかったァァァ!」
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