逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第22話

 明日香ちゃんに頼んで、実家まで徒歩5分くらいのところで車を停めてもらった。

 蓮さんが車を降りると、明日香ちゃんが私に顔を近づけ、小声で囁く。

「ちょっと! 薫がイケメンエリートと結婚なんて、絶対にあんたの妄想か詐欺かと思ってたけど……ほんとに素敵な人じゃん! 幸せになりなよ」

 いつもの軽口だけど、明日香ちゃんが心から祝福してくれているのが伝わってくる。良心がチクリと痛んで、私は小さな笑顔を返した。

「ありがとう、明日香ちゃん」

 明日香ちゃんが「じゃあ、またあとでね」と手を振りながら走り去ったあと、蓮さんと目が合った。

「とても素敵な友達だね。薫と明日香ちゃんの子ども時代が目に浮かぶよ。すごく楽しかったんだろうね」

 まるで子どもを見るような優しい目で、蓮さんは私を見つめる。

「うん。みんな仲良くてね。夏になると学校が終わってから神社に行って、カナチョロを捕まえたりしてたの」

「カナチョロ?」

「カナヘビ。ヘビって言っても、実はトカゲなんだけど」
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