逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
第27話
蓮さんの実家は、緑豊かな鎌倉の住宅街にあると聞いていた。
それを思い出して、水曜の仕事終わりに友記子を飲みに誘った。目的はひとつ。おしゃれ番長の彼女に「鎌倉に住む彼の母親に、第一印象で気に入られるコーデ」を教えてもらうためだった。
「ちょっと、それどういうこと?」
一杯目のビールを飲み干すなり、友記子が身を乗り出してきた。
「いつの間にそんな人できてたの!? しかも、母に会うって、もうそんな段階なの!?」
冬以外の季節ならファサードがフルオープンになるビストロで、友記子はテーブル代わりにのワイン熟成樽の縁をつかんで詰め寄ってきた。泡で唇にできたビールひげのことなど、まるで気にする様子もない。
平日の折り返し地点とは思えないほど、店内はにぎやかだった。ワインを片手に談笑する人々のざわめきが心地よいノイズとなって、友記子のドラマチックな反応までも優しく包み込む。
「ごめん友記子、何度か話そうと思ってたんだけど……」
それは本当。でも、言える機会はいくらでもあったのに、今日まで黙っていたのもまた事実だ。私は心の中で手を合わせ、そっと彼女に謝った。
それを思い出して、水曜の仕事終わりに友記子を飲みに誘った。目的はひとつ。おしゃれ番長の彼女に「鎌倉に住む彼の母親に、第一印象で気に入られるコーデ」を教えてもらうためだった。
「ちょっと、それどういうこと?」
一杯目のビールを飲み干すなり、友記子が身を乗り出してきた。
「いつの間にそんな人できてたの!? しかも、母に会うって、もうそんな段階なの!?」
冬以外の季節ならファサードがフルオープンになるビストロで、友記子はテーブル代わりにのワイン熟成樽の縁をつかんで詰め寄ってきた。泡で唇にできたビールひげのことなど、まるで気にする様子もない。
平日の折り返し地点とは思えないほど、店内はにぎやかだった。ワインを片手に談笑する人々のざわめきが心地よいノイズとなって、友記子のドラマチックな反応までも優しく包み込む。
「ごめん友記子、何度か話そうと思ってたんだけど……」
それは本当。でも、言える機会はいくらでもあったのに、今日まで黙っていたのもまた事実だ。私は心の中で手を合わせ、そっと彼女に謝った。