逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第4話

 ほんの1年前、航は友達であり、ライバルであり、一緒に夢を追いかける仲間だった。

 倉本先生に憧れて、この規模のオフィスにしては多いくらいの新入社員が毎年入ってくる。

 しかし、1年経って残っている人はとても少ない。

 6年前の新入社員──私と友記子と航──が全員残っているなんて奇跡のようだと、今でも語り草になっている。

 私たち3人は、出会ってすぐに意気投合した。徹夜でシナリオを仕上げたあと、駅前のファミレスでこれからのドラマの展開について3人で討論したことも数え切れない。

 当時関わっていたのは、病院を舞台にしたラブコメで、ドラマランキングではいつも上位の人気作品だった。

 周りにバレないように、人物の名前を変えたり言葉を濁したりしながら小声で話すとき、自分たちの仕事が、世の中の一歩先を歩いているように思えて、なんだか誇らしかった。

 私は先生の脚本の下書きと並行して、自分の作品も書いていた。プライベートな時間など、ほとんど取れないほどの激務だったが、睡眠時間を少しずつ削り、2年かけて書き上げることができた。
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