逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第32話

 スタジオ・マンサニージャは、倉本先生率いる少数精鋭のクリエイターが売りのシナリオ事務所だ。だから、会議室は7、8人が入ればいっぱいになってしまうほどの広さしかなかった。

 そこに、エルネスト・エンタープライズの3人と、倉本先生、営業部長、航、そしてなぜか、私を含めた制作部の5人まで集められた。

 人数分のチェアがなかったので、普段は玄関に置かれているアンティークのベンチが会議室に運び込まれた。私たち下っ端は、そのベンチに腰掛ける。

 蓮さんたちは、会議室の一番奥にあるミーティングチェアに、ゆったりと腰を下ろした。スーツ姿の蓮さんは毎日見ているが、こうして本格的なビジネスモードの彼を見るのは初めてだった。

 すらりとした長身に完璧にフィットしたスーツと、自信に満ちた佇まい。その姿は、まさに洗練されたビジネスパーソンそのものだ。私は普段とは違う彼に、何だかドキドキした。

 蓮さんの後ろに控えているのは、以前スーパーで会ったことのある女性、広瀬さん。そしてもう一人、シルクが混ざった光沢のあるスーツを着こなした、蓮さんと同世代くらいの男性だった。
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