逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第34話

「えっ?」

 焼き立てのナンをちぎる手を止めて、友記子は眉を寄せて私を見た。

「今、何て言った?」

「だから、前に話してた婚約者が、エルネストEPの出雲さんなの」

 友記子は少し考え込んでから、再度聞く。

「婚約者? 誰の?」

「だから、私の」

「……はい? ええっ?」

 友記子は蓮さんと私の関係に、何度でも驚けるようだった。



 仕事が終わってから、私たちは金曜の夜によく来るインド料理店にやってきた。なぜ金曜に利用することが多いのかというと、疲れていても、スパイスでリフレッシュして週末を楽しく過ごせる気分になるから。

 今日はまだ月曜だけど、私には何らかのリフレッシュ要素が必要だったので、友記子にこの店を提案したのだ。

 友記子が、さっきから何度も同じ質問をする気持ちはよく分かる。特に今日の蓮さんはビジネスモードで、この2カ月で彼を見慣れた私でも、蓮さんを雲の上の人のように感じてしまったくらいだ。

 あのパリッとした蓮さんしか知らない友記子にしてみたら、彼が私の婚約者だと言われても、にわかには信じがたいだろう。
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