逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第35話 *Rated*

 私からキスをした瞬間、両肩に置かれていた蓮さんの手が、驚いたように一瞬震えた。しかし、その手はすぐに私の頬と背中にまわり、さっきよりも強い力で私を抱き寄せる。

 蓮さんの手が私の首筋や耳を撫でるたび、体中がゾクゾクして、内側から熱が沸き上がってくるようだった。こんな感覚は、今まで経験したことがなかった。

 彼の舌先が、私の下唇をゆっくりとなぞる。耐えきれずに口を開くと、蓮さんは瞬く間に私を深く捉えた。

 甘く痺れるような感覚が全身に押し寄せ、意識が溶けてしまいそうになる。私は溺れないように、必死に蓮さんにしがみついた。

 息が浅くなるのを止められず、ふと目を開けると、これ以上ないくらい近くにいる蓮さんと視線が絡んだ。まるで炎みたいに熱を帯びた視線で、蓮さんは、私だけを見ていた。

 どれくらいの時間がたったのだろう。永遠とも思えるほど長く感じたけれど、実際にはほんの短い間だったのかもしれない。私にはもう、それを考える余裕なんてなかった。

 蓮さんは、自分を抑え込むかのように唇を離した。彼の荒い息遣いと、いつもよりかすれた低い声が、静寂の中で響く。

「……いい?」
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