逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第36話

 蓮さんの家を出てから、私は会社へ向かって歩き始めた。

 今日は電車は使わず、8キロほどの道のりを歩くことにした。手足を動かさないと、浮ついた心が体から離れて、どこか遠くへ漂っていってしまう気がしたからだ。

 歩きながら、プロットについて考えた。まず、4枚のうち1枚を選んで、それについて歩きながら思考を巡らせる。1つ目のプロットが終わったら、2つ目。そんなふうに、頭の中ですべてのプロットを形作っていく。

 冷たさを増した風を感じながら、私はふと、子どもの頃のことを思い出していた。

 歩いていると、いつの間にか頭の中が整理され、自然と答えが見つかることがよくあった。私はずっと、それが面白いと思っていたのだ。

 実家にいた頃の私は、季節を問わず、ほとんど外で遊んでいる子どもだった。

 通学路を歩いたり、神社で遊んだりしているうちに、草木や花、農作業の風景、鳥や虫、タヌキやリスなどの野生動物、遠くの山々など、さまざまなものが目に飛び込んでくる。
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