逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第38話

 エルネストEP社の取調室、いや、クリエイターズルームで、私はぼんやりと座っていた。

 いろいろな出来事が次々と繋がって、思考が追いつかなかった。

 焦点の合わない目での、突然のキス。
 ──ここの家のタオル、スポンジケーキみたいにふかふかで──
『来るときには知らせてもらえると嬉しいです』
 ──私、あっちで寝るように言われてるから──
 ツリーの前で、抱き合っていた姿。
 ──契約結婚相手の薫さんね──
 視線を逸らす蓮さん。
 蓮さんは、私に変な期待を持たせたくないと考えてる?
 ──ずっと、私からもお詫びしたいと思っていました──
『落ち着いたら、話があります』
『ごめん』
 ……『ごめん』

 頭の中がごちゃごちゃで、もはやカオスだ。私は深い溜め息をついてデスクに伏した。

 松本さんが「今朝の出雲さんの様子がいつもと違った」と言っていた。きっとそれは、彼女に会える喜びとともに、昨夜のことを「しまった、やらかした」と思っていたからだろう。
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