逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第49話 *Rated*

「ごめん、遅くに」

 部屋の入り口に立つ蓮さんが、いつもより控えめな声で言った。薄暗い灯りに浮かぶ整った顔立ちは、どこか途方に暮れたような影を纏っている。それでも、普段の完璧さとはまた違った少しラフな姿が妙に魅力的で、私は思わず見とれてしまった。

「水を飲もうと思って起きたら、灯りが見えたから……。少しだけ、話してもいい?」

 鼓動が早まるのを感じながら、どう返せばいいか迷った。話すだけならもちろん嬉しい。でも、もしそれ以上の意味があったら……。

 私の躊躇に気づいたのか、彼は慌てて、「そういう意味じゃなくて、ただ話したかっただけなんだ」と付け加えた。

「そ、そうだよね。どうぞどうぞ」私も赤くなりながら応じた。蓮さんがそんなつもりで来たわけじゃないのに、一人で想像を膨らませていた自分が恥ずかしい。

 蓮さんはベッドの隅を指さし、「座っていい?」と聞く。私が頷くと、彼はゆっくり腰を下ろした。

「なんだか眠れなくて、蓮さんにもらった写真集を見てたの」

 私の言葉に、蓮さんはやわらかく目を細め、「気に入ってくれた?」と聞いた。

「とっても。宝物にする」
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