逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
Season 3

第52話

 翌朝、柔らかな朝陽がカーテンの隙間から差し込む中、私は心地よいまどろみを抜けて目を覚ました。

 横を見ると、蓮さんが長いまつ毛を伏せて眠っていた。その穏やかな寝顔を見ていると、昨日の出来事が夢ではないのだと実感して、幸せな気持ちに包まれる。

 そっと手を伸ばして、緩やかな寝癖がついた髪に触れてみる。柔らかい髪が一筋、くるんと指先に絡まった。その感触が心地よくて、つい指でくるくると遊んでいると、大きな手が私の手をそっと包みこんだ。

「くすぐったい」

 蓮さんが薄く目を開け、笑いを含んだ声で言った。その瞳が私を捉えると、まるで世界が止まったように感じて、息をするのも忘れてしまいそうになる。

「ごめん、起こしちゃった?」

「ぐっすり眠れたから大丈夫。おはよう」

 優しい声に少し照れながら、私はスマホで時間を確認した。画面には6時と表示されている。

「蓮さんにしては、いつもより少し遅いお目覚めだね」

「……薫の部屋に行った夜、あれからほとんど眠れなかったんだ。今日はぐっすり眠れた」
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