逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第58話

「……祐介くん、君の職務経歴書を見させてもらったよ。派遣会社での評価もAだし、スキルも申し分ない。面接に立ち会った広瀬さんなんて、すぐにでも君を社員にしたいと言っていたくらいだ」

 そう言いながら、蓮さんは腕を組み、祐介をまっすぐ見つめた。

「一番驚いたのは、大手の外資系IT会社に新卒で入社したという職歴だね。でも、2年で辞めている。──君のお姉さんの婚約者という立場で聞いてもいいかな。どうして退職を?」

 祐介は、鍋から肉じゃがを器に盛りつつ、「蓮さん、肉じゃがはつゆだく派?」と軽い調子で尋ねた。

 私は心の中で「祐介! まずは質問に答えなさい!」と念を送り続けたけれど、蓮さんは気にする様子もなく、「つゆは少なめでお願いします」と答えた。

 祐介は肉じゃがと副菜の小鉢を蓮さんの前に置くと、カウンターに手をついて、少し間を取るように「んー」と短く唸った。

「辞めた理由は……もっと面白いことをしたかったから、かな?」

「それは、お笑い芸人を目指すということ?」

 蓮さんの切り返しに、祐介はニヤリと笑い、「ささ、温かいうちに食べてくださいよ!」と話題を変えた。
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