逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第9話

 タクシーでテラスハウスに戻ったのは、21時を少し過ぎた頃だった。

 ソムリエが選んだ中南米料理とワインのペアリングが絶妙で、普段あまりお酒を飲まない私は、つい飲みすぎてしまった。

 一方、ここでも蓮さんはお酒には手を付けず、ガス入りの水や、フルーツやスパイス、ハーブを使ったモクテルを注文していた。

 私をソファに座らせてから、蓮さんはキッチンに向かった。冷蔵庫を開ける音が響く。

「グラスで3杯飲んだだけなのに、結構酔ったみたいだね。お酒はそれほど強くないの?」

 冷えたミネラルウォーターをグラスに注いで、私に持たせてくれた。

 私の手にグラスが触れる瞬間、指先がかすかに蓮さんの手に触れ、一瞬、小さく電流が流れたような気がした。私はあわてて手を引っ込める。

「そういえば最初の割烹でも、日本酒が美味しいといいつつ、量は控えめにしていたよね」

「うん。お酒は嫌いじゃないけど、それほど飲めない」

 冷たいグラスを頬にくっつけると、肌が冷やされ、ひんやりと気持ちがよかった。
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