逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

第61話

 祐介との待ち合わせ場所に選んだのは、知里さんに教えてもらったエルネストEP社近くのコワーキングカフェだった。

 以前、知里さんと利用したのは個室だったが、コワーキングルームも広々としている。テーブルとチェアが程よい間隔で配置されていて、プライバシーを確保しつつ、落ち着いて話せそうな空間だった。

 約束の19時を少し過ぎて、私は到着した。受付でドロップインの料金を払いコワーキングルームに入ると、祐介は窓際の席でラップトップを開いて作業をしていた。

「祐介、遅くなってごめん」

 声をかけると、祐介は画面から目を離して軽く伸びをした。

「おお、姉ちゃん。ちょうどお笑いのネタをブラッシュアップしてたところだから、全然大丈夫だよ」

「オーディションの準備はどう?」

 私が尋ねると、祐介は少し困ったように額をさすった。

「うーん、やっぱり伊吹が稽古の時間を取れなくてさ。シルベストレ製菓って大手だけど、昔ながらの体質みたいだね。今日も残業だって」

「そっか……」
< 407 / 531 >

この作品をシェア

pagetop