逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX

番外編 Perspective Study #1

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いつも「逆ゼロ」をお読みいただきまして、ありがとうございます。
また、たくさんの「いいね」をありがとうございました!
こちらは、第35話の最初のRシーンを蓮さん視点で書いた短い習作です。
よろしければお読みください。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
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 薫の唇が触れた瞬間、熱が全身を駆け巡った。理性が警鐘を鳴らすが、そんなものはもう意味をなさない。抗いがたい衝動が込み上げ、彼女の頬を包み込むと、迷いなく背中へと手を回した。

 ──逃がさない。

 唇を重ねるたび、薫の息遣いが甘く震え、吐息が肌をかすめた。その感触に、さらに理性の輪郭が曖昧になっていく。

 首筋に指を這わせると、彼女が微かに身じろぎ、しがみつくように俺の背に腕を回した。……愛おしすぎて、おかしくなりそうだ。

 ゆっくりとまぶたを開いた彼女の瞳は、熱に潤み、(すが)るように俺を見つめていた。今この瞬間、彼女のすべてが俺だけに向けられている。こんなふうに求められたら、もう抑えが利かなくなる。

 堪えきれず、彼女の下唇を舌先でなぞった。薫の肩がわずかに揺れ、小さく息を呑むのがわかった。そして……迷うように、ゆっくりと口を開いた。

 熱に突き動かされ、深く口づける。絡めとり、逃がさないように抱き寄せると、甘く痺れるような感覚が全身を駆け巡った。

 薫の腕が背中に回り、さらに強く引き寄せられる。ただ必死にしがみつく彼女を、求めずにはいられなかった。

 時間の感覚さえも曖昧になっていく。ただ、彼女の存在だけが確かなものだった。

 やがて、薫は俺の腕の中で力を抜いた。唇を離し、荒い息を整える。彼女の潤んだ瞳が俺を見つめ、また胸が締めつけられた。

「……いい?」
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