逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
第75話
『風が消える庭』の書籍化が進む中、祐介は並行して他の出版社と次作の打ち合わせを重ねているようだった。
祐介からたまに届くメッセージには、譲原さんへの不満が滲んでいる。
「譲原さん、本当に細かいところまでチェックしてくる。ここまでやる必要あんのかな」
「譲原さんの言う誠実さって、手間かかりすぎ。タイパ悪すぎるよ」
「早く他の出版社をメインにしたい」
──読者に誠実であれ。
譲原さんの言葉が、ふと脳裏をよぎる。私は祐介のメッセージに対して、「そうなんだ」とだけ返信した。
それから数週間後、祐介から再び電話がかかってきた。受賞の知らせのときとは打って変わって、彼の声は沈んでいた。
「姉ちゃん……前に話した、過去作を切り売りする話だけどさ」
その日はスタジオ・マンサニージャでの徹夜が続いた直後で、私は疲れ切っていた。ベッドに横になったまま、「うん」と相槌を打つ。
「他の出版社にプロットとサンプル原稿を出したんだけど……俺がこだわってた部分が全部なくなって、なんか……魂が抜けたみたいな小説になった。でも、その編集者さんは絶賛するんだ。これは絶対に売れるから、できるだけ早く書き上げてくださいって」
「そうなんだ」
祐介からたまに届くメッセージには、譲原さんへの不満が滲んでいる。
「譲原さん、本当に細かいところまでチェックしてくる。ここまでやる必要あんのかな」
「譲原さんの言う誠実さって、手間かかりすぎ。タイパ悪すぎるよ」
「早く他の出版社をメインにしたい」
──読者に誠実であれ。
譲原さんの言葉が、ふと脳裏をよぎる。私は祐介のメッセージに対して、「そうなんだ」とだけ返信した。
それから数週間後、祐介から再び電話がかかってきた。受賞の知らせのときとは打って変わって、彼の声は沈んでいた。
「姉ちゃん……前に話した、過去作を切り売りする話だけどさ」
その日はスタジオ・マンサニージャでの徹夜が続いた直後で、私は疲れ切っていた。ベッドに横になったまま、「うん」と相槌を打つ。
「他の出版社にプロットとサンプル原稿を出したんだけど……俺がこだわってた部分が全部なくなって、なんか……魂が抜けたみたいな小説になった。でも、その編集者さんは絶賛するんだ。これは絶対に売れるから、できるだけ早く書き上げてくださいって」
「そうなんだ」